鉄道のまち大宮紀行(6) 大宮の鉄道工場130年のあゆみ・後編 大宮総合車両センター・大宮車両所・大宮工場の歴史

みなさん、こんにちは! 日進大宮なび代表のnorthです。

今日は大宮駅北側に隣接する「大宮総合車両センター」「大宮車両所」のあゆみの後編をお届けします

※まだ前編をお読みでない方は前編からお読みください!

戦後の復興

戦後、被災車両の復旧が急務となっていましたが、資材不足や勤労意欲の低下で作業は困難を極めました。それでも修繕費が高くつく車両は廃車処分にし、修繕可能な車両は地道に修繕を進めていき、十数年かけて体制を復旧させました。木造車両は酷使されたことにより危険な状態にあったため、車体の鋼鉄化も順次行われました。

▲EF65形式電気機関車

その後、復興が進むと電気機関車の修繕も多く担当するようになり、EF65形式やEF81形式など多くの機関車が大宮工場で修繕・改造を受けました。

工場の近代化-さらば蒸気機関車

▲ガスタービン車 キハ391

1968年(昭和43年)10月、路線の電化・機関車の電化やディーゼル化に伴い、蒸気機関車の修繕を終了しました。最後に出場したSLはD51 507号機で、出場式も盛大に執り行われました。また、ディーゼル機関車や気動車の修繕技術も向上するなか、大宮工場ではガスタービン動車のキハ391を製造しました。試運転でエンストや発煙など様々な問題が発生したものの、各方面の協力を得て修繕し、1972年(昭和47年)に無事落成。川越線で試運転などを行いました。実験的車両で量産には至らなかったものの、大宮工場の高い技術力を各方面に示しました。

新幹線の工場内縦断

東北新幹線・上越新幹線の建設が決まると、大宮工場を南北に縦断する線路を作る計画となり、1971年(昭和46年)に起工式が行われました。埼玉県内の起工式の会場は大宮工場で、栗原埼玉県知事らが出席したとのことです。

▲大宮工場(1961年、提供:さいたま市アーカイブズセンター)

大宮工場内の新幹線の線路は約756メートル。縦に長い大宮工場を縦に貫く線路でした。新幹線線路下には通勤新線(現在の埼京・川越線)の線路を通すたため地下深くまで掘削する必要がありましたが、地下水位が高いため水量が多く工事は難航したといいます。住民の反対などの影響で工事が中断することもありましたが、1982年(昭和57年)6月23日に無事東北新幹線が開業しました。

客車の改造

1970年代末から大宮工場では客車の改造が行われるようになりました。通常の客車を、お座敷列車や欧風客車などの観光列車に近い内装に変更していったのです。

▲サロンエクスプレス東京(Wikipediaより)

大宮工場では多くの客車改造を担い、「ふれあい」「なごやか」「江戸」「やすらぎ」「サロンエクスプレス東京」「スーパーエクスプレスレインボー」など様々な列車が誕生しました。このうち「サロンエクスプレス東京」は各方面から高く評価され、優れた車両に贈られるブルーリボン賞を受賞しました。

さようなら、こんにちはー国鉄からJRへ

1987年(昭和62年)4月、日本国有鉄道は民営化しJR各社となりました。大宮工場はJR東日本大宮工場とJR貨物大宮車両所に分かれ、新たなスタートを切ったのです。

▲C58 363

1988年(昭和63年)には約20年ぶりにSLの修繕検査業務を再開させました。というのも、秩父鉄道が「さいたま博」にあわせ、SL(C58 363号機)を復活させたからです。静態保存してあったC58を復元したのは大宮工場で、これ以降復元されたSLも大宮工場が担当した車両が多くあります。

大宮工場では同年、D51 498号機も復元させています。その後も真岡鐵道向けのC12 66号機、C11 325号機、JR東日本のC57 180号機、C61 20号機、C58 239号機を復元させています。

同時期には107系電車の新造工事が行われました。107系は吾妻線や日光線などで使用された電車で、現在では引退していますが、長らく地域の足となっていました。

イベントの開催

1991年(平成3年)秋、大宮工場・大宮駅・東大宮の東京総合訓練センターを会場に「おおみや鉄道まつり」が開催されました。D51をはじめとする車両展示やミニ電車の試乗会、体験イベントなどが多く行われ、2日間でのべ36,000人を動員しました。これを皮切りに翌々年には「見て、知って、得する、JR大宮イベント93」が、その翌年には「新旧つばめの出合うとき」が開催されました。

▲「新旧つばめの出合うとき」(1994年、提供:さいたま市アーカイブズセンター)

このうち「新旧つばめの出合うとき」は第1回鉄道の日を記念するイベントとして、1994年(平成6年)に開催されました。このイベントでは京都の梅小路蒸気機関車館(現・京都鉄道博物館)で展示されているC62 2号機やJR九州が「つばめ」の愛称でデビューさせた787系電車など、全国からわざわざ車両を集結させ、大盛況となりました。今では考えられないイベントです。

一般公開イベントは「鉄道のまち大宮 鉄道ふれあいフェア」として現在まで受け継がれています。

工場の改称と鉄道博物館の建設

2004年(平成16年)、大宮工場(JR東日本側)が「大宮総合車両センター」と改称されました。また、同時期より鉄道博物館を敷地内に建設する工事が始まり、2007年(平成19年)に鉄道博物館がオープンしました。

▲鉄道博物館

鉄道博物館は、交通博物館からの継承車両や大宮総合車両センターで保存されていた車両などを多数展示する、国内最大級の鉄道系博物館となっています。

鉄道博物館の脇には大宮総合車両センターの試運転線が通っており、試運転を行うJR東日本やJR貨物の車両、さらにはSLを見学することが出来ます。試運転が行われる日には多くの鉄道ファンや子供連れが集まり、大賑わいとなっているのです。

現在の検査車両

現在、大宮総合車両センター(JR東日本)と大宮車両所(JR貨物)ではどのような車両の検査を担当しているのでしょうか。

▲211系

大宮総合車両センターでは、東海道・高崎・宇都宮線用のE231系電車や高崎エリアの211系電車、房総地区の209系電車やE131系電車、さらには「成田エクスプレス」などで使用されるE259系電車や「踊り子」「草津・四万」などで使用されるE257系電車などの検査を担っています。これらの車両は大栄橋の上から入場している様子を見ることができるほか、旧桜木駐車場向かいには塀がアクリル板になっていて工場内を観察できるスペースもありますよ。

▲大宮車両所内部(2025年)

大宮車両所では、「金太郎」の愛称で知られるEH500形電気機関車や「ブルーサンダー」で知られるEH200形電気機関車、さらには普段大宮に乗り入れない青函トンネル用のEH800形電気機関車も検査を受けています。かつては国鉄型の電気機関車やディーゼル機関車も多く受け持っていましたが、世代交代により今はJR化後の機関車がほとんどとなっています。

まとめ

大宮で検査を受ける車両は現在活躍する人気の車両ばかりです。イベントなどで両所が公開されることもあるので、機会のある方はぜひ訪れてみてくださいね。

今後も大宮が「鉄道のまち」として発展していくことを願います・・・!

参考文献

さいたま市アーカイブズセンター編『さいたま市史 鉄道編 鉄道で語るさいたまの歴史』さいたま市、2017年

大宮工場内百年史編集委員会編『大宮工場百年史』東日本旅客鉄道株式会社、1995年

大宮工場70年史編集委員会『七十年史』、日本国有鉄道大宮工場、1965年

東日本旅客鉄道株式会社大宮支社編『大宮駅120年のあゆみ-大宮駅120周年パネル展記録』東日本旅客鉄道株式会社大宮支社、2005年

日本国有鉄道大宮駅編『大宮駅100年史』、日本国有鉄道大宮駅、1985年