
みなさん、こんにちは! 日進大宮なび代表のnorthです。
今回は埼玉にゆかりのある人に話を聞く「埼玉人」の第1回として、さいたま市立大宮国際中等教育学校1期生の神龍之介さん、岩崎永遠さん、安川春敏さんにお話を伺いました!
6年間を振り返って
north:まずは皆さん、今年の3月に卒業されたということで、卒業おめでとうございます。
神・岩崎・安川:ありがとうございます!
north:6年間を振り返ってみていかがでしたか?

神:本当にいろいろなことをやらせてもらったなという思い出ですね。学校で映画上映をしてみたり、今回の話題ですけど、バスの混雑緩和に向けて活動したり・・・変なことやっても全部許してもらえたなという感じで楽しかったです(笑)
岩崎:私は神くんとは逆で後悔の思いが強くて、もっといろいろなことをやっておけばよかったなと感じています。MOIS(大宮国際中等教育学校の略称)の主体性を生かして、もっと社会貢献がしたかったです。
安川:僕は仲間が増えたのが一番良かったと思っています。6年間一緒にいるとお互いの得意不得意とかわかるじゃないですか。このことに困ってたらあの人に声かけようとか、そういう信頼できる仲間が増えたのが一番良かったですね。
north:さすがMOIS生という感じで素晴らしい振り返りでしたね(笑)
神:「MOIS生」って単語が出てくるのが凄い(笑)
north:では早速バスの話について伺いたいと思います。
スクールバスに関する活動
north:まず、何をやったのか概要を教えてください。
神:大宮駅西口のバス停の混雑が激しく、毎日利用していく中でどう改善すればいいか考えるようになりました。で、乗車の位置を少しでも分かりやすくして、毎回同じ位置にしておけばもうちょっとマシになるかなって考えるようになって、市議会議員さんとか、さいたま市役所とか、西武バスさんとかいろいろなところと交渉を進めて、2年ぐらいで、バス停への整列を呼びかけるロードペイントを実現しました。

north:ありがとうございます。最初は神さんだけだったんですか?
神:はい。他のバスに関することについては一緒にやったこともありました。というのも、3年生のころだから2021年6月かな? にスクールバスが導入されたんですけど、その導入や方法については生徒の有志で考えたり活動したりしていました。
north:そうなんですね・・・! そういえば今はスクールバスはないですよね。
神:はい。2年9ケ月で、だから2024年度から廃止になっちゃいましたね。コストが西武バスの方が安いということで、スクールバスは最初6万円、値上げして6万5000円、さらに次やるとしたら7万超えるみたいなところだったんですけど、西武の「学トクIC定期券」なら年4万1000円で通学路とそれ以外も全線乗り放題っていう。

岩崎:神くんと私はバス旅が好きなのでよく旅に出てました(笑)
神:よく連れていかれます(笑)
「SA BUS」の活動
north:スクールバス導入と前後して、SA BUSの活動を始めたと伺ったんですけど、これはどういったことだったんでしょう?
神:はい。SAは「Service as Action」の略なんですけど、最初はバスの時刻表を作って生徒に配布したり、整列乗車を呼びかけたりしましたね。
安川:あと学校に時刻表や案内を貼ったり、イベントでの来校者に配布したりもしましたね。
north:大宮駅でバスの案内もしたと伺いました。

神:バスの案内も生徒たちで自主的に始めましたね。SAが出来る前から始めて、それを組織化して・・・っていう流れです。
ロードペイント事業
north:ロードペイントについても伺っていきたいんですけど、今、大宮駅西口には乗車案内のロードペイントがされていますが、これはどういう意図でペイントしようと思ったんでしょうか。

神:SA BUSの活動で自校の生徒にはルールなどが定着してきたんですけど、一般の人はまだ混乱していたのがやろうと思った理由ですね。あと、今後この活動を続けていける保証がないので、持続できるものをということで思いつきました。
north:大宮駅西口はバス停も複雑ですし狭いですもんね。神さんは案をいくつか出したそうですが・・・。
神:はい。「3G」と呼ばれる探求学習の授業があって、バス停の混乱を解決する方法を話し合ったんですけど、ひとつはロードペイント、ほかにバス案内の一般ボランティア団体の組織や、ロータリーの配置見直しという案もありました。ロータリーの配置見直しは莫大な費用と年月がかかりあまり現実的ではないということで、いずれ再開発は絶対必要だと思うんですけど、一旦実現できそうなものを考えました。
north:ロードペイントをするにあたり、解決したいバス停の問題はどのようなものがあったのですか?
神:たとえば1番乗り場なんですが、1つのバスに対して3列できていました。一般列、高校生列、割り込みたい高校生の列、たまに割り混みたい一般の方の列もできて4列になることもありました。西に行くバスは大宮国際中等教育学校、大宮光陵高校、大宮南高校の生徒が使うんですけど、学校によっては割り込み列に並べるのは先輩だけみたいなルールがあるとかないとか(笑)

north:それでその問題を解決するために動いたということですね。
神:はい。まずは中3の12月ごろ、西武バス大宮営業所を訪れ、いろいろ伺いました。西武バスさんもペイントしたいのに市が許可を下ろしてくれないという話も聞きました。じゃあ市に行こうということになって、だって市立学校の生徒ですからね、総合窓口に行ったんですけど見事に断られました(笑)
north:それでいったん活動は中断したんですね。
神:はい。少し経ってから、駅で市議会議員の佐伯加寿美さんが配ってたチラシを受け取りました。「お困りごとがあったらご連絡ください」と書いてあって、突破口になるかなと思い、思い切って連絡してみました。すると協力いただけるとの返事をもらい、担当の交通政策課との意見交換の場をセッティングしていただきました。あとは何回も交渉を重ねましたね。
安川:僕たちもそのあたりから協力するようになりました。

神:市役所は最初案を出したときに「いいと思うけど、懸念点があるよね」と、あまり前向きな姿勢は感じられませんでした。確かに点字ブロックとの兼ね合いや階段にペイントできるのかなどの問題点はあり、解決しないといけませんでしたね。
north:なるほど。
神:実は高2の4月に市の担当者が変わって、その方は「これは無理だけどこうすればいいんじゃない?」とアドバイスをくれる方で、そこからさらに計画も進んでいきました。ペイント案を作り、岩崎くん・安川くんや近隣の高校の生徒にも確認してもらい、案を修正しました。
安川:僕は岩崎くんや神くんと違いバスマニアじゃないので、一般の目が求められてるなと感じて一般利用客の目線でチェックしました。
north:逆に岩崎さんとかはバスオタ的な目線でチェックもできたんじゃないですか?
岩崎:そうですね。最初は点字ブロックとの兼ね合いで道路寄りにペイントする計画だったんですけど、これじゃ運転手さんが入ってくるとき人がいて怖いだろうっていうのは言いました。それで案も修正された感じですね。

north:一般客にはない視点ですね! そうして案が決定したのが2023年の12月と。
神:はい。で、2024年の4月に完成しました。
ロードペイントが完成
north:完成したロードペイントを見ていかがでしたか?
神:最初見たときはカラフル!って感想が浮かびました(笑)
安川:僕もカラフル!って思ったのと、感動しました(笑)
岩崎:確かに。おおっ!て感動したよね。

神:今回1・2・3番乗り場をペイントしたんですけど、3番乗り場とかは1列だったのを系統ごとに並ぶように変えました。それも今では浸透してきています。市役所の方も一定の効果は出てるっていうことで。
north:じゃあ大成功ということで?
神:大までは行かないかな(笑)
安川:定量的な効果の測定ってのは難しいんですけど、唯一数字で分かってるのが、3番乗り場の乗降時間が短縮したってことで。意図してなかったんですけど、並び列を変えたことで降りた人も滞留しなくなりましたね。
神:あと前は複数の系統が1列に並んでいたので、抜かす抜かさないみたいな心理戦が繰り広げられていたんですよ笑 それがなくなって乗車時間も短くなりました。
一方で課題も
north:一方で課題もあるにはあるんですよね?
神:はい。1番乗り場の一列化がまだできていない現状があります。学生と一般の人が分かれちゃってて・・・。西武バスも一時期キャンペーンをして分かれないようにしてたんですけど、ここは浸透しない。あとはバスの系統番号を表示してほしいっていう意見もあって。

north:大01みたいな、あれですよね。
神:そうですね。01は東口ですけど(笑)
岩崎:マジレスいらないよ(爆笑)
north:バスオタが出ちゃった(笑)
神:まあでも確かに系統番号あると分かりやすいですよね。
north:皆さんは今後も継続的に活動していくつもりなんですか?
神:うち文化祭が3月にあるんですけど、そのタイミングでバス案内しようかなって。年1で謎のOB訪問的なことをするかもしれないです(笑)
安川:できることならそもそもの構造を変えたいですけどね。ペデストリアンデッキで下が見えにくいので、口で説明しても通じなくて。
north:岩崎さんも?
岩崎:年1で戻ってきます(笑)
神:我々は利用者じゃなくなるので、基本はSA BUSの後輩に引き継いで、助けが必要なら手伝うという感じですよね。
将来の夢は・・・
north:皆さんは将来的にはどういうことをされたいんですか?

神:ロードペイントは最大の成功であり最大の挫折だと思っています。ある程度の効果はありましたが、やはり知識や技術で高校生の限界を感じました。足りない部分を大学で学び、将来街づくりに携われたらと思っています。
安川:僕は文系なんですが、理系のコースを取ってみたりいろいろな視点があることが強みだと思っています。あと文化や風土の研究をしたくて、そっちの方面から攻めてみるのもありかなと思っています。
岩崎:私は都市計画を作りたいなと思っていて、渋滞をなくすために道路を引くとか、そういった仕事をするための勉強をしていきたいです。
north:じゃあみなさんMOIS時代の経験を活かしつつ、将来は街のために仕事をしたいということですね・・・!
north:最後に一言お願いします!
安川:あとは後輩たちに期待したいと思います・・・!
神:うん。ロードペイントにとらわれなくていいし、なんならロードペイントやめちゃってもいいんだけど、課題を解決する姿勢だけは続けてほしいなと思っています。
岩崎:後輩のみんなが僕らより全然よく働いてるのは知ってるので、期待したいと思います。
north:本日はありがとうございました!
神・岩崎・安川:ありがとうございました!
お話してくれた人
神龍之介(じん・りゅうのすけ)、岩崎永遠(いわさき・とわ)、安川春敏(やすかわ・はるとし)
2006年度生まれ。2019年度に開校した大宮国際中等教育学校に第1期生として入学し、バスに関する活動などを行う。2025年3月、大宮国際中等教育学校を卒業。(2025年4月現在)

取材協力:さいたま市立大宮国際中等教育学校